
外観検査の相談は、ほぼ必ず「不良品の写真を何枚集めればいいですか」から始まります。 ただ、その前に2つの壁があります。不良はめったに出ないので枚数が集まらないこと。そしてその写真に付ける合否のラベルが、人によって割れていることです。
判定が割れている状態のまま写真を集めると、 食い違ったお手本を機械に見せることになります。 そこから出てくるのは、人よりばらつく判定です。
検査という仕事を、実際の動きに沿って分けると4つになります。
どこからが不合格かを決める。長さなのか、面積なのか、位置によって変わるのか。多くの現場で、ここが言葉になっていません。
ここが空白のままだと、この先すべてが人によってブレます。
照明の当て方、角度、距離、背景。同じ製品でも撮り方が変わると、見えるものが変わります。手で持って撮っている現場では毎回条件が違います。
実は精度を最も左右するのが、この工程です。
見て、合否を決める。ベテランは複数の要素を同時に見て総合判断していますが、本人はそれを分解して説明できません。
「見れば分かる」の中身を取り出す作業が本体です。
不合格にした理由を、後から社内や取引先に説明する。ここが要求される業界では、判定できるだけでは足りません。
説明が要るかどうかで、作るものが変わります。
意外に思われるかもしれませんが、精度を決めているのは学習の量より2番の撮り方です。条件がバラバラの写真は、いくら集めても足を引っ張ります。 逆に、照明と角度を固定するだけで判定の難易度が大きく下がることがあります。
そして1番の基準づくりには、副産物があります。言葉にする過程で、人の判定のばらつき自体が減ります。AIを入れる前に効果が出てしまうことも、実際にあります。
決めた条件で撮れているかを、その場で判定する。ピンボケや明るさ不足を撮り直させるだけでも、後段の精度が変わります。
明らかな合格と明らかな不合格は機械が通し、際どいものだけを人に出す。全数を人が見る状態から、判断が要るものだけに絞れます。
どこを見て不合格としたかを画像上に残す。後から説明が求められる業界では、ここが導入可否を分けます。
この領域は小さく試してから決めるのが定石です。ご相談の予算帯も大きいため、いきなり本開発に入ると、 精度が出なかったときの損失が大きくなります。 まず手元の写真で「どこまで判定できそうか」を確かめ、 その結果を見てから本開発の可否を決める進め方をお勧めしています。
私たちは解体業向けのAIシステムを自社で開発し、 現場写真の台帳化と、写真の監査を本番で動かしています。現場に撮ってもらう仕組みと、撮り方を揃える設計は、この課題でも土台になる部分です。判定の精度は、その上で確かめていきます。
検査の対象、不良の出方、いま撮っている写真の状態によって、 見込みはかなり変わります。撮り方が固定されている現場と、 手持ちで撮っている現場では、必要な準備がまったく違います。
いまお手元にある写真を見せていただければ、その状態で判定が成立しそうかと、 成立させるために先に必要なことをお出しします。見込みが薄いと判断したら、その理由も含めて正直にお伝えします。