
最近いちばん多いご相談が「社内向けのAIチャットを作れないか」です。 ただ、ここには先に確かめておくべきことがあります。AIが答えられるのは、どこかに文書として残っているものだけです。多くの会社で詰まっているのは検索の性能ではなく、 そもそも答えが文書になっていないことのほうです。
「探す」という仕事を、実際の動きに沿って分けると4つになります。 どこが重いかは、資料の置き方と、社歴の長さによってかなり違います。
そもそも過去に似た資料が作られていたことを知らない。知らないものは検索できないので、また一から作ることになります。二重に作った資料が、さらに検索を汚していきます。
ここが重い会社では、検索を速くしても何も見つかりません。
共有ドライブ、個人のフォルダ、メールの添付、チャットの過去ログ、紙のバインダー。置き場が分かれていて、どこを見るかの見当を付けるところから始まります。
置き場をまたいで一度に探せるかどうかが、最初の分かれ目です。
似たファイルが何本も出てくる。どれが最新で、どれが差し替え済みなのかが、ファイル名からは判断できない。開いて中身を見比べることになります。
「見つかったのに使えない」の正体は、たいていここです。
結局、分かっている人に聞く。聞けば数十秒で解決するので、これが一番速い手段として定着します。
速い代わりに、聞かれた側の時間が毎日削られています。
この課題を数字で捉えようとすると、たいてい「探すのに何分かかったか」を測ります。 ただ、実際に効いているのは聞かれた側が中断されている時間のほうです。ベテランほど頻繁に聞かれ、そのたびに自分の仕事が止まります。
しかもこれは記録に残りません。だから減らしても減ったことが見えないという厄介さがあります。効果を語るときは、 「探す時間」ではなく「特定の人に質問が集中している状態」を指標にしたほうが、 現実に近い評価になります。
共有ドライブもメールの添付もチャットの過去ログも、横断して探す。ファイル名ではなく中身の意味で引けるので、名前を思い出せなくても辿り着けます。
更新日・版・誰が最後に触ったかを添えて出す。人が判断できる材料まで一緒に出すのが要で、候補を並べるだけでは3番の手間が残ります。
社内の問い合わせでは、これが精度そのものより大事です。答えが文書にないなら、無いと言ったうえで「誰に聞くべきか」を返すのが正解です。
私たちは解体業向けのAIシステムを自社で開発し、その中で アシスタントや問い合わせへの一次回答を動かしています。 現場の人が、マニュアルを開かずに聞いて済ませられる状態を作っています。
「作れます」ではなく、動いている画面をお見せできます。御社に載せるときは、いま資料が置かれている場所につなぎ込むところから 設計します。どの置き場までを対象にするかで手当ての大きさが変わるので、 そこは最初に決めておくと進めやすくなります。
同じ「資料が見つからない」でも、置き場が散らばっているのか、 版が判別できないのか、そもそも文書になっていないのかで、 やるべきことがまったく変わります。 最後のひとつだった場合、AIを入れる前にまず書き出す仕事が必要になります。
御社でよく聞かれている質問を10個ほど挙げていただければ、 そのうち何個が「いまある文書で答えられるもの」なのかをお出しします。そこが少なければ、AIより先にやるべきことがあるとお伝えします。