
予測の精度を上げること自体は、いまの技術でかなりできます。 それでも在庫が減らないことがあるのは、予測と発注が別の仕事になっているからです。
予測の数字が出ても、発注する人は結局これまで通りの安全在庫を積みます。 外れたときに責任を問われるのは発注した人であって、予測ではないからです。予測を発注の判断に繋ぐところまで設計しないと、数字は参考資料で終わります。
この仕事を、実際の流れに沿って分けると4つになります。
出荷の実績、受注、季節性、販促の予定。多くの場合これらが別々の場所にあり、粒度も揃っていません。まずここで詰まります。
数字が揃っていない状態では、精度の議論に入れません。
次の期間にどれだけ出るかを見込む。技術的にはここが一番語られますが、実務での比重はそれほど大きくありません。
ここだけを外注しても、たいてい在庫は動きません。
予測を見て、実際に何個発注するかを決める。ここが人の勘のまま残っていることが非常に多い工程です。
在庫が減るかどうかは、実質ここで決まります。
外れたときに、なぜ外れたのかが残らない。だから翌月も同じ理由で外します。
記録がないと、予測はいつまでも良くなりません。
予測の精度を数パーセント上げるより、予測をもとに発注量を決めるルールを作るほうが、在庫への効き方は大きいです。たとえば「この商品はこの範囲に収まる見込みだから、安全在庫はここまででよい」 という形にすると、精度が同じでも在庫は下がります。
そしてもう1つ大事なのが4番です。外れた理由を残していないと、 改善のしようがありません。振り返りの仕組みだけ先に作るのも、十分に意味のある一手です。
販売、受注、在庫の記録を突き合わせて、同じ粒度に整える。地味ですが、ここが全体の成否を分けます。
「120個」ではなく「9割の確からしさで100〜140個」と出す。幅が分かれば、安全在庫をいくつ積むべきかが計算できます。
販促だったのか、天候か、競合の動きか。理由が溜まるほど、次の見込みが実態に近づきます。
この領域は手元の実績データで小さく試すところから始めるのが、いちばん損の少ない進め方です。過去のデータで検証すれば、 どの程度の幅で見込めるのかが、開発に入る前に分かります。 そこを見てから、進めるかどうかを決められます。
私たちは解体業向けのAIシステムを自社で開発し、その中で 経営数値の管理と予測の仕組みを動かしています。バラバラの記録を突き合わせて、同じ粒度に整えるところは、この課題でも最初にやることなので、同じ手順で進められます。
商品の数、季節性の強さ、販促の影響の大きさ、 そして何年ぶんの実績が残っているかによって、見込みの立ち方は大きく変わります。 動きの少ない定番品と、流行に左右される商品では、やるべきことが逆になります。
過去2年ぶんほどの出荷実績を見せていただければ、 どの程度の幅で見込めそうかを検証して、その結果をお出しします。精度が実務に足りないと判断したら、在庫のルールを見直す別の道をご提案します。