
紙とハンコが遅さの原因に見えるので、電子化が答えのように思えます。 ただ、実際に測ってみると、時間の大半はハンコを押す動作ではなく、待ちで消えています。
待ちが生まれるのは、いま誰の番なのかが見えないからです。見えないので催促できず、催促できないので止まったままになる。 この構造を残したまま紙を画面に置き換えると、 滞留する場所は同じで、ただ画面の中で止まります。
承認という仕事を、実際の流れに沿って分けると4つになります。
申請する。どの様式を使うのか、何を添付するのかが分からず、出し直しになる。差し戻しの往復が、実は最初の滞留です。
出し直しの回数は、たいてい誰も数えていません。
承認者を順に回る。いま誰の手元で止まっているかが見えないので、待っている側は何日も気づけません。
ここが全体の時間の大部分を占めています。
内容を見て判断する。実際に判断している時間は、多くの場合1件あたり数分です。
判断そのものは、思っているほど時間を使っていません。
誰がいつ承認したかを記録として残す。監査や契約の場面で、後から求められます。
紙だと探し出すのに時間がかかる、という別の問題になります。
電子化した会社と、実際に速くなった会社は一致しません。 速くなった会社に共通しているのは、承認者の人数そのものを減らしたことです。
5人の承認が要る申請は、1人あたり1日待たせるだけで5日かかります。 この状態で電子化しても、5人が5人とも即日で処理しない限り速くなりません。 ですので私たちは、仕組みの話をする前に「その承認は本当に要るのか」を段ごとに数えることをお勧めしています。金額の大小で段を変えるだけでも、体感は大きく変わります。
止まっている場所と、そこで何日経っているかを出す。これだけで催促が回り始め、滞留はかなり減ります。
申請の時点で、記載漏れや添付漏れ、金額と様式の不一致を指摘する。差し戻しの往復そのものを無くします。
誰がいつ何を承認したかを、後から取り出せる形で残す。契約や監査の場面で効いてきます。
私たちは解体業向けのAIシステムを自社で開発し、実際の現場で毎日動かしています。 契約の管理、電子契約、承認のフロー、押印(印影の埋め込み)までが本番稼働していて、 紙の様式を保ったまま画面上で回せるようにしています。
「作れます」ではなく、動いている画面をお見せできます。承認するものが工事なのか購買なのか稟議なのかで中身は変わりますが、 「いま誰の番かを見せ、証跡を残す」という骨格は、そのまま載せ替えられます。
同じ「承認が遅い」でも、原因が出し直しの往復にあるのか、 承認者の人数にあるのか、特定の一人に集中していることにあるのかで、 打ち手がまるで変わります。仕組みを入れる前に減らせる段があることも珍しくありません。
直近の申請を数件たどらせていただければ、どこで何日止まっていたかを数えて、 仕組みで解くべきか、段を減らすべきかをお出しします。段を減らすだけで済むなら、開発せずにそう申し上げます。