
よくある進め方が、まず全社にAIツールを配って各自に試してもらう、というものです。 ところが数ヶ月後に振り返ると、熱心な数人が使っているだけ、という状態になりがちです。
理由ははっきりしています。研修で学べるのは道具の使い方で、当て所は自社の業務の側にあるからです。道具をいくら配っても、業務が分解されていなければ、どこに当てるかは出てきません。
使い所を決める作業を、順番に分けると4つになります。 決められない会社は、たいてい1番を飛ばして3番から始めています。
誰が何をやっているかを、粗くていいので書き出す。部署の役割ではなく、実際の手の動きの粒度で並べるのが要点です。
書き出されていないものは、検討の土俵に上がりません。
どこに時間が溜まっているかを見る。1回あたりの時間ではなく、回数を掛けた総量で見ます。感覚と実測はよくズレます。
「大変な仕事」と「時間を食っている仕事」は別物です。
AIが効く形かを見る。繰り返しがあるか、判断が要るか、扱うものが文字や画像になっているか。この3つで大きく絞れます。
ここで初めて、道具の知識が役に立ちます。
1つに絞って試す。同時に3つ始めると、どれも中途半端なまま担当者の熱意だけが尽きます。
始める前に「やめる条件」を決めておくのが肝心です。
「候補が多すぎて選べない」とおっしゃる方が多いのですが、 実際に伺うと、詰まっているのは選ぶことではなくやめる判断の基準がないことです。外したときに引き返せないと感じるから、決められません。
ですので私たちは、始める前に「3ヶ月で何がどうなっていなければ、やめるか」を先に決めることをお勧めしています。やめてよいと分かっていれば、 最初の1つは驚くほど軽く決められます。
月に何十回も起きているか。年に数回しかない仕事は、うまくいっても効果が小さく、続ける理由が生まれません。
人の頭の中や、口頭のやり取りだけで完結している仕事は当てにくい。まず書き出す仕事のほうが先になります。
最初の1つは、外しても被害が小さい業務から選ぶ。いきなり請求や安全に関わる領域に当てると、慎重になりすぎて前に進みません。
私たちはもともと解体業の現場を持ち、自分たちの業務を分解して、 どこにAIを当てるかを1つずつ決めながらシステムを作ってきました。 書類の読み取り、図面、写真、原価、勤怠と、効くと判断したところから順に本番で動かしています。
「作れます」ではなく、動いている画面をお見せできます。外から助言するだけでなく、自分の会社で同じ判断をしてきたので、 どこで迷い、どこで外したかもお話しできます。
同じ業種でも、人の配置や取引先の数によって、時間が溜まっている場所は違います。 そして多くの場合、経営から見えている「大変な業務」と、 実際に総量として時間を食っている業務は一致しません。
30分ほど業務を伺って一緒に並べれば、AIが効く形のものと、 そうでないものを仕分けして、最初に試すべき1つをお出しします。いま手を付けるべきではないと判断したら、その理由をお伝えします。